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ありきたりの痛み 東山彰良

流で直木賞受賞の東山氏のエッセイ集。映画評が半分以上。

東山氏はハードボイルド小説を書いているということがわかった。う~ん、どおりで。

ハードボイルドとひと言で言ってしまえばわかりやすい。そんな内容と大学の語学講師とのギャップを埋める1冊だった。
ハードボイルドとアカデミカルなものって結びつかないので、作者は自分の中に秘められて現実世界で実行されることのない何かを小説にしているのだろうと思っていた。しかし、作者の体験も結構反映されているのだとこのエッセイ集を読みながら思った。
つまり、東山作品の主人公は東山氏の分身であると。それって、当たり前のことなのかもしれないけど。
そうわかって、なんか安心した。親しみも感じた。

福岡で映画評を書いている…ラブコメの法則
独自の考えを持つ母親や親戚の女性たち…ラブコメの法則、他
暴力的な衝動を抑えられない瞬間を持つ主人公…逃亡作法 TURD ON THE RUNイッツ・オンリー・ロックンロール、他
東京で就職してほどなく仕事を辞めて郷里に戻る主人公、ラブコメの法則、、イッツ・オンリー・ロックンロール

また、68年に台湾で生まれ、日本と台北(台湾)で70年代、80年代の思春期を過ごしたという東山作品の源泉に触れることができた。

同時に、ハードボイルドは現在の私向きじゃないのだから、で惚れ込んだからといって無理はよそうと思った。


ありきたりの痛み

路傍 東山彰良

近藤史恵氏のサクリファイス、今野敏氏の隠蔽捜査等々、そして、東山彰良氏の。何らかの賞を受賞した作品というのは、その作者の中でも飛び抜けた出来。だからこそ、受賞の栄誉と相成ったと考えられる。
とすれば、次の私の東山は路傍。こちらもサクリファイス同様、大藪春彦賞受賞。
ということで読んでみた。

暴力、セックスの繰り返し。さらに本作は、主な主人公が日本人、(千葉県の)船橋が舞台。私にとって行ったことのない福岡県が舞台なら外国同様、中国人が主人公なら他人事なのに対し、日本人が主人公で買物に行ったことがあったり、親戚の家に行くのに通ったりすることがある船橋が舞台とは、他の作品より現実感が強くなる。
さらに動物(昆虫・ほ乳類)が出てきて、それが虐待され、さらに私には受け入れがたい展開に。
ハードボイルド小説。ありきたりの痛みで、東山氏が自分の小説についてそう語っている。そうかー、そうだよねー。よく考えたら、大藪春彦って思いっきりハードボイルド小説だったよね-。若い頃の一時期は大藪もよく読んでいたよ。でも、もうこの歳でハードボイルドはToo Much!

好みの問題をおいておけば、よくできている。同じ主人公や周りのメンツで6つの短編でそれぞれに小さなオチを付けながら流れるように展開する。

親友の喜彦の異常な暴力的態度にやさしい気持ちになれるというのは実は少しわかる。自分のもやもやを他人が解消してくれる感覚。

暴力、セックスの中に笑いと哲学が織り込まれ、まごうかたなく東山という作品だった。


路傍

ラブコメの法則 東山彰良

プロローグ    トラウマは何にも増して重要なラブコメの前提である
1    男女の出会いは唐突であるほどよく、第一印象は悪ければ悪いほどよい
2    物語を恋のほうへとねじ曲げるのは、いつだって親友の役割である
3    ミステリは最高の隠し味である
4    仕事とは主人公そのものである
5    二度目の出会いは恋の予感が濃厚に漂うものである
6    受け身ばかりではいけない、三度目の出会いは自力で手繰り寄せろ
7    恋に落ちたからといって世界が変わるわけではない
8    子供をだしに使えば男女の急接近はおのずと可能になる
9    ギャグとユーモアを混同してはいけない
10    ラブコメといえど、突破口を切り開くためには流血をも辞さない
11    束の間の幸せはつぎなる試練の序曲である
12    値千金のひと言は妥協を許さない生き様の賜である
13    女と会えない時間が男を育てる①
14    登場するべくして登場した人物はかならず波風をたてる
15    女と会えない時間が男を育てる②
16    ついに愛と夢を秤にかける
エピローグ    ラブコメの未来像を描く試み
解説    瀧井朝世


ラブコメの法則


ラブコメって、JKがトースト咥えてあほ毛を立たせて、朝遅刻しないように慌てて学校に向かう途中で、角でイケメンとぶつかるという出会いじゃないの?

東山のラブコメは、映画評論家の「わたし」がガイジン御用達のブリティッシュ・パブで酔った白人に絡まれた岩佐まち子を救おうとしたと勘違いされて始まる。そのとき、エアロスミスの、あの『アルマゲドン』の主題歌が高らかに鳴ったという(少なくとも「わたし」の頭の中には)。

「わたし」の心境はよくわからない。岩佐まち子に恋をしているのかが伝わってこなかった。要するに女にありつきたいだけで、岩佐にいくらかの勝機を見出して、行動を起こしただけなんじゃないのと読めてしまった。濃すぎる親族の女たちも現実離れしている。
それでも最後に「わたし」が岩佐となにがしかの関係を築いたのを読み取り、これもラブというものなのかと思った。
THEME:文学・小説 | GENRE:小説・文学 |

イッツ・オンリー・ロックンロール 東山彰良

インディーズでずっと鳴かず飛ばずのロックグループ、ロウ・マインズ。ベーシストのべっさんが服役中のため活動休止中。ふとしたきっかけで、ロウ・マインズにスポットライトが当たり、折良くべっさんは服役を終え、ロウ・マインズは活動再開。


イッツ・オンリー・ロックンロール


ロックンロールというと用心する。世の中には私にとってのロックとは違うものがたくさんあるから。それで、ロックには今でも少々こだわりがある。
だから、このタイトルは、どうかなーと思った。
で、手にとって、ぱらりと中を開いたら、「フレディー・マーキュリー」って目に飛び込んだ。…これは読むしかない。

主人公の「おれ」、青木満は、知識豊富で弁が立つ戦略的頭脳の持ち主、一方仲間思い、そして暴力的傾向。
ロックの蘊蓄が随所にちりばめられているが、それがイヤミではないのは、この主人公のキャラ形成によるところが大きいのだろうと思う。

過激な動物愛護主義者、甲本ゆい
初恋の相手だったけど結婚していながら満に強く迫る沙織
精神障害者のべっさんの妻、和美
女はひとりもまともな登場人物がいない。
男も似たり寄ったりだが。
それでも、そんな登場人物たちが仲間を助けるために働く。そして話が動いていく。
暴力やドラッグは、勘弁とは思うものの、満は最善を尽くしていると思われるかぎりは、応援したい気持ちでいっぱいだし、展開を確かめずにはいられない。
でも、ドラッグに流れたぐらいから、紅白での行動とか、よくわからず。
メンフィスの伝説の十字路(?)で終わったところは、かっこよかったけど、やっぱ、よくわからなかった。

逃亡作法 TURD ON THE RUN 東山彰良

たぶん、近未来。死刑のなくなった日本。キャンプ9と呼ばれる北九州の刑務所に収容されていたツバメら、囚人たち。
連続少女暴行殺害犯の川原昇の被害者の父親たちが、川原に復讐しようとキャンプ9に潜入。復讐はすんでのところで失敗し、囚人たちはほとんどすべて脱獄した。
ツバメらは、捕らえようとする警察の手から逃れようと手段を尽くす。
また、引き続き超法規的に川原の復讐を企てるカイザーら、被害者の父親たちはツバメらと一緒に行動している川原を追う。


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読んでいくうちにツバメが主人公とわかる。思慮深さと行動力。といって力が抜けているところは抜けている。そして一度仲間と認識した人間は裏切らないという性格。魅力がある。
犯罪者なのに憎めない仲間たち。
川原は重度のパーソナリティー障害なのだが、それが笑える存在に。
そんな川原を恋人かペットのように執着する張。声を出して笑ってしまう。
その他、笑えるということを狙って書かれていると思う。それとスリリングな展開。引きつけられる。
私には諸々えぐ過ぎだし、長い(500ページ+、新しい文庫は上下巻の構成になっているよう)。だけど、面白く読めた。

「のどをクリアにする」とか外国語由来の表現が結構あるようだ。

流 東山彰良

ミステリー×青春小説。
主人公は台北の高校生、葉秋生。祖父、葉尊鱗が殺された。おじいちゃんの死の第一発見となり、鮮烈な記憶が残る。犯人はまったく不明なまま、秋生は高校生活、幼なじみとのつきあい、大学受験、初恋など目まぐるしい日常と折り合っていかなければならないが、犯人を見つけ出したいという思いが消えることはなかった。

――――プロローグ
第一章 偉大なる総統と祖父の死
第二章 高校を退学になる
第三章 お狐様のこと
第四章 火の鳥に乗って幽霊と遭遇する
第五章 彼女なりのメッセージ
第六章 美しい歌
第七章 受験の失敗と初恋について
第八章 十九歳的厄災
第九章 ダンスはうまく踊れない
第十章 軍魂舞台での二年間
第十一章 激しい失意
第十二章 恋も二度目なら
第十三章 風に乗っても入れるけれど、牛が引っぱってもでられない場所
第十四章 大陸の土の下から
――――エピローグ


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ダイナミック。秋生は高校の中の問題児からふっかけられるけんか、やくざに半ゲソ付けた幼なじみの救出など真に荒々しい場面があり、それを格好良く切り抜ける。一方で、ゴキブリの出現に母親や祖母に助けを求めたり、軍官学校も入学後半年で音を上げたりするという意気地なしでもある。そんな数々のエピソードがぎっしり詰まっており、葉秋生像、葉一家ら外省人/中国人のメンタリティーと価値観も、二十世紀終わり近くの何年間かの台北も鮮やかに描かれている。可笑しかったり、もの悲しかったり、常に感情を動かされながら読んだ。

また巧みで緻密だ。うねるような怒濤の流れと細部の描写と。
日本軍の間諜だった中国人が王克強で中国語読みがワンコオチャン。まさに、日本のイヌだとか。
祖父が殺されたことにも驚きの真実があるが、さらにその殺人に奥行きがある。切なさと感動のうちに、それが明かされる。

これが翻訳ではなく日本語で読めるとは、本当にラッキーだ。
お気に入りのミステリー作家を読み尽くしてしまい、これから、何を読めばいいのだと思っていたところに、神様がくれた贈り物。これを読んで、そう思った。おそらく、これからしばらくは、私の読書は東山が中心なるだろう。

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THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 |
プロフィール
自分的に人生で一番の読書ブーム到来。 忘れっぽいので、読んだ本のログをとることにしました。 題名だけじゃ、内容を覚えられなくて、読んだことすら忘れるほどの忘れんぼ。
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読み散らかしています。
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