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氷姫 カミラ・レックバリ

スウェーデン西海岸の小さな町、フィエルバッカで殺人事件が起きた。被害者は、フィエルバッカで12歳まで過ごし、イエーテボリに引っ越ししていった非常に美しい女性、アレクス。
ライターのエリカは、アレクスが引っ越して行ってしまうまでは、アレクスと大の仲良しだった。両親から県民新聞に掲載する追悼記事を書くように頼まれ、それとは別にアレクスの伝記を書きたいという野心を抱く。
アレクスの両親、夫とともに行ったターヌムスヘーデ警察署で幼なじみのパトリックと再会する。パトリックは刑事になっていた。
エリカとパトリックは急接近。
エリカは、謎の多いアレクスの身辺を探り、パトリックは刑事として事件の真相を探り、アレクスを殺した犯人を追う。


Amazonの『氷姫』のページ

若い女性作家ならではのエリカの心理描写。
そしてファッションやカロリーの取り過ぎを気にしながらおいしい料理を作ることに心を砕いたり。そして、膀胱炎の心配。
この寒い国では女性は風邪をひくことと同じ頻度で膀胱炎を心配しなくてはならないのだろう。消えた少年の登場人物もこの心配をしていた。もう一つ読みかけのスウェーデン推理小説にも出てきたように思うが、確信はない。私自身、この寒い時期、これらの作品を読んでいた日々にちょっとした痛みというか違和感があり、「もしかしてこれは尿道炎?」と思うことがあったので、日本とは遠い、行ったことのない地でありながらリアリティーがあった。
30代で、いろいろできるエリカにはあんまり親しみは湧かないけどね。

エリカよりもパトリックのほうにより好感を覚えた。礼儀正しい態度で人々に接して、捜査の聞き込みにあたり、子ども、赤ん坊にすぐに好かれる。
しかし、都会的、先進的な印象があるスウェーデンだが、田舎は田舎なんだろうなと思った。聞き込みに行く先々でコーヒーやケーキを出され、同僚にエリカとの仲を根掘り葉掘り聞かれるという人間関係の濃さ。

今までヨーロッパの国々って小さいよねって思っていた(チェコとかオーストリアとかベルギーとか小さいじゃん?)けど、スウェーデンはそこそこでかいな。フィエルバッカから、近辺で大きな町、イェーテボリの国際空港まで200キロ余りだそう。あ、Googleマップだと、そんなにないね。
https://www.google.co.jp/maps/dir/Fj%C3%A4llbacka,+%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3/Landvetter+(GOT),+438+80+Landvetter,+%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3/@58.1922434,10.6611125,8z/data=!3m1!4b1!4m13!4m12!1m5!1m1!1s0x46444ab498afaaed:0x2fb535a41099d251!2m2!1d11.2882238!2d58.5997756!1m5!1m1!1s0x464ffa015437846b:0x2460362f259684b3!2m2!1d12.292314!2d57.668799

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THEME:海外小説・翻訳本 | GENRE:小説・文学 | TAGS:

消えた少年 アンナ・ヤンソン

スウェーデン、ゴットランド島。観光客で賑わう7月の夏至祭りに近い日。
アンドレアスは、第一次世界大戦中、ゴットランド島沖で座礁したドイツ戦艦、アルバトロス号に夢中という少年。
ホームパーティーで母親と妹とともに出かけた先からいなくなり、姿を消してしまった。
夏の間だけゴットランド島で勤務する警察官のマリア・ヴェーンは、上司や同僚とともに事件を捜査する。


Amazonの消えた少年のページ

子育て世代の女たちが中心に描かれている。マリア、アンドレアスの母親であるシャルロッタ、シャルロッタのいとこであるスサンヌ、友達のエルヴィーラ。恋愛、夫婦関係、子どもとの関係、子どもの心配、女同士の関係が綿密に描かれている。
四人の女たちのうち、二人は離婚していて、一人は離婚を考え、もう一人は夫の浮気を疑う。誰一人として幸せな結婚生活を送っていないとはずいぶんシニカルだと思えるが、これは平均的なところなのかもしれない。だからなのかリアルだ。
そのパートナーや元パートナー、あるいは恋愛に絡みそうな男たちは、ほとんどが情けないか暴力的である。

登場人物の心理描写にページが割かれ、その合間に新たな事件が起きていくが、アンドレアスの捜査は一向に進んでいないように思われるというのが斬新。それでも、最後の最後に事件の真相が明かされる。

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THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 | TAGS:

三本の緑の小壜 D・M・ディヴァイン

ジャニス・アレンが殺された。成績の良い13歳の美少女だった。遺体はゴルフ場で全裸で発見された。ジャニスが殺された夜、ゴルフ場で目撃された医師のテリー・ケンダルが容疑者となったが釈放された。しかし、テリー・ケンダルがジャニスの遺体発見現場付近の崖から落下してその下の海岸で遺体が発見された。表向きは不注意で落ちた事故として処理されたが、町の人々は、テリーが自責の念から自殺をしたものと考えた。
テリーの弟のマーク・ケンダルは、テリーがマークに向けて出さなかった手紙や匿名の手紙を読み、マークが殺されたものと考え、町に移り住んで、独力で調べ始めた。

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)三本の緑の小壜 (創元推理文庫)
(2011/10/28)
D・M・ディヴァイン

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テリーとつきあい、結婚を申し込まれた元カノのマンディ・アーミテイジ、テリーの弟、マーク・ケンダル、マンディの異母妹のシーリア・アーミテイジの3人により主に語られる。それぞれの人物に共感しながら読めた。特にシーリアは、それまで知恵遅れで凶暴という扱いだったのが、いや全然普通。むしろ私が13歳の時よりいろんなものが見えている。(私が人より全然見えていないものが多かったんだろうけど)その語りが面白かった。

都合4人が死んだ。その前兆やら、何やらで、スリリングだが、ずーーっと引きずっているわけじゃないし、グロい表現もない。バランスとしていい感じ。
犯人以外に容疑者として考えられる人物にも、動機になり得るような背景があったりするのも飽きないところ。

読みやすい。翻訳物に感じる読みにくさがほとんどない。あとポアロのシリーズなどにある古い翻訳で、訳が英語に引っ張られておかしいというのもない。うん、新しいっていい。70年代の初めに書かれたもので、人物像は現代イギリス人とはちがっているとは思うが、特に古めかしい感じもしない。(私が13歳だった時代とほぼ一致していることもあるだろう。平成生まれの人たちが読んだら、古い感じがするのかもしれない)

アーミテイジ家がベスという犬を飼っていて、下宿していたテリーが逢い引きのお供(口実)に連れて行っていた。兄に代わりアーミテイジ家に下宿した弟のマークも、夜ベスを散歩に連れて行ったりしている。ノーリードで。その辺が、愛犬大国イギリスだなーと感じた。ベスはマークがテリーを殺した犯人に当たりを付ける鍵の一つにもなっている。

最後まで面白かったが、殺人の動機としてとってつけた感じがした。犯人の人物像がもっと描き込まれていたら、読後の感動が大きかったはず。
あと、犯人はテリーを口封じで殺したのに、テリーを殺す際に目撃される危険性を犯人が知りながら顧みなかったというのも、お粗末かなあ。
THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 |

満願 米澤穂信

夜警
交番勤務の巡査が殉職した。上司の巡査部長が殉死した部下の配属から死までを語る。

死人宿
去られた元恋人を追って山奥の温泉宿に。その宿は近くに有毒ガスが溜まる場所があり、自殺目的に泊まる宿泊客が後を絶たない。

柘榴

美しく策にも長けていたさおりは、大学のゼミで出会った成海に魅了され、他の女子たちを注意深く蹴落とし、成海と結婚したのだが、成海はとんでもない男だった。

万灯
商社に入社し、海外勤務で順調に実績を上げ、出世しつつあった「私」。冷静で迅速な決断には間違いがなかったはずが、大きく歯車が狂うことになった。

関守
伊豆の峠道に起こった都市伝説の取材で、ほとんど客のない峠のドライブインに立ち寄った。店を切り盛りする年配の女性に都市伝説について水を向けると思いがけず様々なことを教えてくれた。

満願
大学時代に下宿していた家の奥方・鵜川妙子が殺人で裁判にかけられた。弁護士の「私」は、恩義も好意も感じていた妙子の弁護を進んで引き受けるが、妙子は途中で控訴を取り下げ服役した。「私」は事件が正当防衛によるものと考えていた。

満願満願
(2014/03/20)
米澤 穂信

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それぞれが違った味わいでミステリーであり、ホラー。短編ながら、どれも伏線が効いていてトリックや最後の落ちに感心させられた。

今となってはどうしてこれを借りることにすることにしたのかわからない。最初の短編を読んで警察小説だからかと思ったが、残りは警察小説じゃなかったし。受賞か何かで内容紹介を見て図書館で予約して借りた。だが、何が読みたいと思わされたのかが予約から何ヶ月も経った今ではわからないのだ。
単にミステリーと思うと陰気なトーンがなんともやりきれない気にさせられたのだが、「インシテミル」や角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞というデビュー履歴からして「ホラー」色の強い作風だということを理解し、何となく腑に落ちた。
THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 |

十津川警部 君は、あのSLを見たか

会社の会長(かな)が、誘拐されて、それが、犯人として...と展開だけ考えると、すごい。

十津川警部 君は、あのSLを見たか (講談社ノベルス)十津川警部 君は、あのSLを見たか (講談社ノベルス)
(2010/10/07)
西村 京太郎

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ブレイズメス1990

ブラックペアンの続き。
卓越した独自心臓手術術式を持つ天城幸彦。医者として「そんなのあり?」な倫理観を世良に突きつける。
ともあれ世良は院長からの特命を果たし、モナコから天城を東城医大に引っ張ってくる。
ブラペ同様の、Bien sur!、クサい登場人物(医者たち)が天城の心臓外科専門棟の設立の話にかき乱される。

ブレイズメス1990ブレイズメス1990
(2010/07/16)
海堂 尊

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死ねばいいのに

何者かに殺された一人暮らしの鹿島亜佐美(アサミ)。20代、派遣労働。

まず渡来健也(ケンヤ)が、アサミと特別親しかったわけではないのだが、アサミについて知りたいとアサミの生前にもっとも深く関わり合いがあった人々4人に話をきいて回る。別に事件を解決したいわけではなくてという設定は、興味をそそられた。ケンヤと一緒に探求をしている気分。ではあるが、探求された側から語られる。ある意味、一粒で二度おいしい。ケンヤの正論(?)とケンヤと接する人々、一人一人に異なる苦悩。

語りの人物は毎度変わるのにケンヤの人物像にブレはない。しかし実は、ケンヤが何を考えてどう感じているかはケンヤの台詞とケンヤと接した人物の描写からしか情報が与えられていない。

そして5人目。ケンヤは、アサミの殺人事件担当の刑事に話を聞きに行く。4人目までと同様の調子で、警部補を苛立たせる。そして何のけれんみもなく、殺人を告白する。
6人目、国選弁護士と面会。殺人に至る状況と動機(?)が語られる。

死ねばいいのに死ねばいいのに
(2010/05/15)
京極 夏彦

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GOTH―リストカット事件

短編6つ。ネタバレ御免。

I 暗黒系 Goth
子供の頃、人間がパーツになっちゃってる夢、見たことあんだ。だから、そっちは、まあいいとして、モラルが欠落してる主人公二人ってきついすね。

II リストカット事件 Wristcut
「僕」が、こんな願望を抱いていたとはね。犯人の人間観はシュールだけど、なんかわかる気がした。

III 犬 Dog
過度の愛犬家としては、犬が殺されていくのは辛かったけど、主人公の犬は無事でよかった。

IV 記憶 Twins
色白で髪の長い顔立ちのきれいな双子が、暗い願望でいたずらをする。あんまり気持ちがよくないね。気持ちがわかるだけにね。

V 土 Grave
あーっ、あーっ…て思いながら読んでいて、最初の殺人。で、次の犠牲者の恋人が彼女を見つけたときが、いい。その恋人たちのロミオとジュリエットな最後は、ロマンチックでいい。なんか滑稽だけど。

VI 声 Voice
ラストにふさわしく、やっちまったなぁ。姉妹のエピソードは、やすいが泣いてしまった。


GOTH―リストカット事件GOTH―リストカット事件
(2002/07)
乙一

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THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 | TAGS:

死ねばいいのに 京極夏彦

あらすじ
主人公 渡来健也が、死んだ知り合いアサミの生前に縁のあった人物にアサミについて話をききに行く。
アサミは何者かに殺された。
アサミは数奇な運命の20代の女。借金のかたとして実の母親に暴力団構成員に売られ、派遣先では既婚の上司、同僚に簡単に体を許していた。また隣の女の恋人も寝取る形になった。
健也が話をききに行ったのは、隣人の女、派遣先の不倫男、母親、暴力団構成員でアサミを愛人にしていた男、アサミの殺人事件捜査本部の捜査主任である警部補。
健也はプーでガクもない若者。つまり何も持っていないと同時に何も守る必要のあるものもないという人物の象徴。対してアサミに関し話をきかれにこられた者たちは、健也との対話により、それぞれの立場で生活を営む上での不安、ストレスを口にさせられることになる。健也は「むずかしーことわかんねすけど…」等と、のたまいつつ、核心に迫っていく。そしてラストの決まり文句

「ならさ」
 --死ねばいいのに。

で、バッサリ。

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THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 |

ブラックペアン1988

病み上がりにて、しばらく毒吐きまくる予定……

面白かったか、面白くなかったか、二択で答えるなら「面白かった」。
でも読んで直後には「読むために費やした時間を返せ」と思った。(ま、たいした時間は掛けていないんだけどね。)話が途中で終わっている感がたっぷりだったので。あと鍵を握るブラックペアンが、「どうもねー」というところがあったし。(特注で、一本ないし少数本、作らせたカーボン製のものに人体に入ってずっとそのままで機能するって品質面での信頼性があるように考えがたかった)
でも、これを完結したものと考えず、シリーズの1作と考え、自作を期待すれば、不満がなくなるのだろう。

小説現代で連載中のブレイズメス1991が、面白く読めるようになったということで極私的な読んだ目的も達成された。ブレイズメス1991は、ブラックペアンの続編。主人公(?)の世良他、共通の登場人物が何人も出てくる。

ブラックペアン1988(上) (講談社文庫)ブラックペアン1988(上) (講談社文庫)
(2009/12/15)
海堂 尊

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ブラックペアン1988(下) (講談社文庫)ブラックペアン1988(下) (講談社文庫)
(2009/12/15)
海堂 尊

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巻末の吉川晃司との記念対談での下記の言葉には、まったく同意できなかった。

物語にして何がよかったかというと、一般の人も自分のこととして考えれくれることですね。つまり、誰かに感情移入するんで、結局、医者を擬似体験するんです。たとえば同じテーマをノンフィクションで書くこともできるけど、そうすると、ふーんで終わっちゃう。

登場人物すべてクサいのだ。それぞれが異なる臭さで。自分とは異質のクサさがぷんぷんで移入するどころか入ってけないんだよ。それこそ、読んでもふーんで終わる感じ。
でも、くるっと裏返して、各登場人物にクサいほどのパーソナリティを移植することに成功しているとも言えるのだろう。それが大半の読者を強力に惹きつけるはずだ。

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THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 |
プロフィール
自分的に人生で一番の読書ブーム到来。 忘れっぽいので、読んだ本のログをとることにしました。 題名だけじゃ、内容を覚えられなくて、読んだことすら忘れるほどの忘れんぼ。
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読み散らかしています。
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