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海の見える理髪店 荻原浩

海の見える理髪店
いつか来た道
遠くから来た手紙
空は今日もスカイ
時のない時計
成人式


Amazonの『海の見える理髪店』のページ

親子の関係にまつわる短編集。
表題作を雑誌で読んでいて直木賞を受賞したというので残りも読んでみたくなった。
砂の王国など今まで読んだ荻原作品とはトーンが違っていた。引出しが多い、多彩とでも言うのか。外れがないなと思う。
でも個人的にこのテーマは苦手。
THEME:小説 | GENRE:小説・文学 |

今夜誰のとなりで眠る 唯川恵

高瀬秋生が死んだ。それが生前秋生に関わった女たちに波紋を投げかける。


Amazonの『今夜誰のとなりで眠る』のページ

30代後半の女性たちのさまざまな女性たちの生活と心境。フリーランスで仕事をする者、航空会社で主任として勤める者、家庭がありパートで仕事をする者、離婚はしても経済的な不安なく娘を育てながら生活する者、秋生と事実婚の相手として生活し秋生の死後はパートもやめてしまった者。

秋生は相当の変人だったようだが、なぜかもてもてだったよう。つきあった女たちに批判的なことを言っていて、それを女たちは思い出してそのことばを噛みしめるのだが、それをもっともだと思って自分の今後の行動の指針にするとは、素直だなあと思う。そして、私も30代の頃はこんなだったろうかと思う。

話は2002年刊行。14年前。その頃のその世代の女性が描かれているなあと感じる。自分と同じ世代の女性たち。境遇が当時の自分と近いと思う女性はまったくいないが、それぞれの心境はまるで自分のことを語られるようになめらかに入ってきた。
その時代と女性が鮮やかに描かれている。ほんの14年前なのに何だか古めかしい気がした。その頃よりは現在の30代後半の女性たちの方がもう少しわだかまりや不自由が少なく生きているのはないかと思う。けれどもそれは自分のそうなったからで、もしかしたら現在も女性たちはわだかまりや不自由を抱えて生きているのだろうか。

各章で主要登場人物が変わる。毎度、「誰だっけ」と最初にページにある<主な登場人物>の表を章が変わるたびに見なくてはならなかった。
THEME:小説 | GENRE:小説・文学 |

鳩笛草―燔祭/朽ちてゆくまで 宮部みゆき

朽ちてゆくまで
両親を早くに亡くした智子。両親が亡くなった後、一緒に住んでいた祖母も亡くなり、住まいは相続税を支払うために手放さなければならないことになった。
荷物整理で見つけた数々のビデオテープには、幼い日の智子が映されていた。しかし、その内容はかなり変わっていた。

燔祭
高校生の妹を殺された一樹は、思わぬ人間から思わぬ申し出を受けた。

鳩笛草
人の心を読むことができる貴子は、その能力を生かして警察官になり刑事として活躍していたが、その能力が失われつつあることに気がついた。


Amazonの『鳩笛草―燔祭/朽ちてゆくまで』のページ

能力を役立てて生きるという点で、鳩笛草は作者にとって他人事ではないという。書けなくなったら。
それは、自分もそうだ。毎度仕事を受けるたびに、これは注文どおりの期限に間に合わせて、満足な内容で仕上げることはできるのかと不安になる気持ちがある。期限と内容を考えて断る案件は結構ある。それらの案件のように断るべきではなかったかと。
誰でも他人事ではない話。

燔祭は古代ユダヤ教/旧約聖書由来の生け贄の儀式ということ。火車といい熾烈な題名を選ぶ人なんだなあと宮部さんについて思った。今まで私が読んだ話は割りと暖かい感じで終わるのと対照的。
THEME:小説 | GENRE:小説・文学 |

肩越しの恋人 唯川恵

萌は、腐れ縁の幼なじみ、るり子の結婚披露宴に出席していた。新郎は萌の元カレであり、新婦のるり子は27歳にして3度目の結婚である。
自己中なハンター、るり子と、そんなるり子に呆れつつも怒りもせずにつきあう腐れ縁の萌。
るり子は3度目の結婚でもすぐに物足りなさを感じ始める。
一方、萌はるり子の披露宴で会ったるり子を唯一振った男とつきあい始める。


『肩越しの恋人』Amazonのページへ

鮫科の女、るり子は女の敵だ。
萌目線で読む。
萌がうまくいくとうれしく、るり子が満たされないとあったり前だろうと思うような。萌がるり子の食い物にされないか心配しつつ。
でも、話はそんな旧式な構図で展開することはない。意外だが、自然な展開でるり子と高校生男子が萌の家に転がり込むという展開。さらに、るり子の新しい恋。
爽やかな読後感。

文学賞の受賞作品(この場合直木賞)は、はずれがない。
THEME:文学・小説 | GENRE:小説・文学 |

羊と鋼の森 宮下奈都

高2の外村(とむら)が、ピアノ調律師の板鳥のピアノの音に感銘を受け、ピアノ調律師となり一人前となることを目指す。


『羊と鋼の森』アマゾンのページ

ピアノのハンマーに使われる羊毛のフェルトとピアノ線の鋼。織り成す森。外村のイマジネーションは詩的。

一人の青年が愚直にピアノ調律師として努力を重ねる、うまくいかなくて悩む。それだけの話。
そりゃ良いこと、悪いことのエピソードが挟み込まれている。しかし、まあ人生では普通に起こることの範疇だ。

なのに、まったく退屈なところがなく、深く引き込まれた。
「羊と鋼の森」という表現は「おや」っと思わせ、その理由説明はキャッチーで、好ましく受け入れられるかどうかが微妙なセンはあるはずなのだけど、外村の出自と外連味のない性格描写からか素直に受け止められた。

自分が何かを目指すときに、このようにありたいという願望から外村に気持ちが寄り添っていたのかもしれない。
THEME:文学・小説 | GENRE:小説・文学 |

愛に似たもの

真珠の雫
つまずく
ロールモデル
選択
教訓
約束
ライムがしみる
帰郷


愛に似たもの

愛を利用したり利用しているつもりで翻弄されていたり、恋愛とは異なる愛に幸せを見出そうとしたり、確かに「愛に似たもの」だけどちょっと違うであろうものが各短編に現れる。
短編ながら、それぞれ読み終わった後に必ず考えさせられる。
でもあまり考えもせず、ちょっとネガティブだななんて思いながら、振り払うように次の短編を読むという読み方になった。
短編でも輪郭がはっきりしている。そこは間違いない。
THEME:文学・小説 | GENRE:小説・文学 |

火車 宮部みゆき

求職中の刑事である本間俊介が、甥に頼まれ、失踪した婚約者・関根彰子を探し出すため調査したところ、関根彰子の過去は偽りだらけだった。


火車

ミステリーとして必要な要素の質がすべて完璧。
真実の意外性、そこにたどり着くまでの道筋、罪を犯したものが犯すようになった背景設定。人物の肉付け、描写の巧みさ。
初宮部みゆきにして、ベストセラー作家の人気の理由に大納得。

本間の自宅が水元公園のそばと親しみを覚える設定。
人情味あふれる本間と登場人物とのやり取りもいい。
最初は、まるで何の規則もなく何カ所かから沸き出でるわき水のようだったのが、筋を追って流れができていくことを感じながら、その流れに身を任せながら、真相という大河の河口にたどり着ける心地よさ。

家の郵便受けにポスティングされていた宇都宮健児氏のビラに「宮部みゆきのベストセラー『火車』のモデル」とあり、読んでみようと思った。作中のサラ金負債者の救済にあたる熱血弁護士がモデルだろう。実行力があり、まっすぐで信念のある人物として描かれている。
あとがきにクレジット・サラ金問題の現状について話をした協力者として謝辞が述べられている。
宇都宮健児

協力者は、宇都宮氏だけではない。高村薫、東野圭吾、井上夢人と一流文人の面々。作者の才能と人徳の力なのだろう。結果、一部の瑕疵もない作品ができあがるというわけだ。

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THEME:ミステリ | GENRE:小説・文学 |

ナイルパーチの女子会 柚木麻子

志村栄利子、国内最大手の商社に勤めている。30歳になる今も実家から通い、身綺麗さを保ち責任ある仕事をこなす。
そんな栄利子がはまっているのが、脱力主婦ブログ。専業主婦だが、食生活も家事も相当いい加減。なのに清潔感や節度があり、栄利子を惹きつけている。栄利子とおない歳の丸尾翔子が書いていた。
そんな二人が偶然出会って、最初は意気投合したが、すぐに噛み合わなくなり、それぞれがストレスを大きな感じ、生活に大きな変化が生じてしまう。


ナイルパーチの女子会


社会性の悩みというテーマが現代日本の女子を使って表現されている。

ナイルパーチは食品事業営業部に属する栄利子が担当することになった魚。ビクトリア湖(だったかな?)に放したところ、すさまじい食欲と強さで、生態系を破壊したという。
これが美人でお嬢様で仕事のできる栄利子を象徴している。

タイプは大きく異なるが30歳のすてきな二人が出会って、恐ろしいことに。ミステリー並みの怖さ。
それは、構成、表現力にある。

泳ぎたいな、と思った。

の冒頭から栄利子の潜在意識にある対人問題、特に同世代女性の友人がいないことの不安が描かれている。そして後半で友人を得た栄利子は人の入っていない温泉で泳ぐ。ナイルパーチのように。
また早朝のオフィスを人の気配がない屋内プールによく似ているという感性。それだけで私は共感したのだが、その理由が挙げられて、早朝のオフィスという場所の経験がない人にも納得させられる説明になっている。

二人それぞれの性格の一部に共感するところがある。追い詰めるような考え方で行動してしまう栄利子と、自分が苦手なことは手を抜く翔子。
特に栄利子。人の言ったことはすべて真に受けてしまう。ナイルパーチのように知らぬうちに周囲の魚を食べ尽くし孤独な生活を送っているという。
若く身綺麗なお嬢様エリートという冒頭にはあこがれに近い気持ちで読んでいたのが、栄利子がバランスを崩し始めた頃から、ああ、同じだと。それでも自分はこんなに極端な行動は取らないよと高をくくっていたけれど、昔を思い返すとタイプは異なれど、似たようなことをしていたように思える。そう大昔の記憶。
栄利子が高校生の時に起きた事件については、なぜ栄利子に問題があったとされているのかがわからないほど。いや、確かに問題はあったけど、栄利子は悪くはなかったと思う。たぶん私もその年頃に同じ境遇になれば同じ行動を取ったはずだ。それほど、栄利子はある部分で自分に似ている。

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火花 又吉直樹

二十歳だった僕、徳永は、熱海のイベントで先輩漫才師、神谷さんと知り合った。舞台の後、二人で飲み、僕は、神谷さんに「弟子にしてください」頼んだ。


Amazonの『火花』のページへ


売れない芸人のリアリティーがぱない。

先輩の神谷の「お笑い」についてのアート論は、ベッドタイムに寝落ちするまで読む読書としては難しい。面倒。しかし、論をぶつ売れない先輩芸人、議論を交わす売れない漫才師同士というのがリアル。普段からねらって発せられる二人の会話やメールの内容も私には微妙。そこがまたリアル。そして、漫才バカの先輩。とんでもない行状なのだけど、なぜかこんな人間いそうと思わせられる。

そして、表現は精緻。だから、リアルさを際立てている。さらに、それによって「僕」が抱える不安感とでもいうようなものが迫ってくる。

最後は圧巻だった。

ロック・オブ・モーゼス 花村萬月

高校で息を潜めるように過ごしていた桜が、留年してきた同級生、モーゼこと百瀬竜治に触発されギターに、ブルースに目覚める。


Amazonの『ロック・オブ・モーゼス』のページへ

音楽室が好き――と口にすれば、気取っているとからかわれるならまだしも、イジメの標的にされかねない。


イマドキの社会生活に気を使う高校生。空気が読めないとクラスメートが囁いていたのを気にする主人公。貧相な美人系が描かれた表紙のイメージとも桜は一致している。
空気が読めないことに気づきもしないまま高校生活を終えた自分としては、この主人公のお話しを読みたいと思った。気を使いながら、どのように折り合いをつけていくのかということに興味があった。

しかし、この期待は裏切られ、桜はほどなく、学校が自分に向いていないと見切りをつけて退学し、家を出てバイトで生計を立て、ギター一筋に生きようとする。
私の期待を全く裏切る展開。

表紙イラストには一目見て「貧相な美人」と思ったが、実際の桜は「貧相ではない美人」ということ。
美人で、恐ろしく良い耳と音楽センス、さらに天性の声質に恵まれ、ミュージシャンとして開花していくという展開。

別の本を予約した図書館の新刊コーナーにあった。
夏休みに合わせてYAとして揃えたのかとも思うが、マリファナ喫煙、高校中退、強姦等、高校生にはあまり推奨できない内容を含んでいる。

しかし、奇しくも、最近話題の「学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい」のメッセージに通じているような内容。高校生でもなく高校生の子供がいるでもない私はこれをとっとと返却しないとね、という気になる。
プロフィール
自分的に人生で一番の読書ブーム到来。 忘れっぽいので、読んだ本のログをとることにしました。 題名だけじゃ、内容を覚えられなくて、読んだことすら忘れるほどの忘れんぼ。
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読み散らかしています。
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