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家族トランプ 明野照葉

山の手の中流家庭の一人娘、風見窓子。保守的で頭の固い親には以前から早く結婚するようにうるさく言われていたが、ついに最後通牒。36歳までに結婚しなかった場合、家から出て行ってもらうと両親から告げられた。(結婚した場合、家は二世帯住宅に改築すると言う)

一般職として中途入社の会社では給料はたいしてよくない。一人暮らしをしようものなら、貯金0かへたすれば貯金を切り崩しての生活となる。
SNSで知り合ったときどき食事をする男性はいるが、その男性とそれ以上関係を進める気になれない。親は見合い話を持ってくるが、それも乗り気でなく断っている。

そんな八方ふさがりのある日、窓子は、同じ会社の営業統轄副部長、有磯潮美から声を掛けられた。仕事にも恋にもバリバリの独身女性。姉御肌の潮美に窓子の現状を打ち明けたところ、「大丈夫」と請け合われ、力づけられる。窓子は潮美が大好きになっていく。

家族トランプ (実業之日本社文庫)家族トランプ (実業之日本社文庫)
(2013/02/05)
明野 照葉

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さえずる舌そっと覗いてみてごらんで味わった現代東京の人の心に潜むホラーは、ない。

それでも、危機はある。ひとり立ちできるだけの収入の見込みもないのに家から追い出されるというのだ。かといって結婚の当てはまるでないし、特にそんな願望もなく、無理やりお見合いで結婚するというのには抵抗を感じている。
まずはもうご飯は作らないと言われ(兵糧攻め)、36まで独身なら出て行けと最後通牒。
じわりじわり来る陰険な悪意に苛まされる。このトーンはさえずる舌そっと覗いてみてごらんにもあった。明野作品の特徴といえるだろう。

さえずる舌そっと覗いてみてごらんとも、主に中央線、都内西側エリアの話で、またかと思った(個人的経験からそちら方向にちょっとトラウマがある)ら、有磯潮美の実家は三ノ輪。ジョイフル三ノ輪、都電荒川線三ノ輪橋駅、足立市場、千住大橋と、徒歩で通る場所が出てきたのはうれしい。

人情の濃い下町の人々を描いているが、そこで話がくどくも湿っぽくもならない。また窓子の口うるさい両親も同情を買うに十分な描写はあるものの、必要以上にくどく描かれることもない。読んでいて十分に納得でき、なおかつ冗長さを感じさせない。このバランス感覚は、すごいと思う。

一気に読めた。ハッピーエンドでよかった。

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THEME:小説 | GENRE:本・雑誌 | TAGS:

そっと覗いてみてごらん 明野照葉

人より少し恵まれた30歳女子、石屈日和(いしかがひより)。
縁故入社の会社では形ばかりながら係長の職にあり、いつまでも勤め続けていたいと考える居心地の良さ。事業に成功した叔母夫婦からかわいがられ、三鷹で3LDK+ウォークインクローゼットの部屋をたったの8万円で貸してもらっている。その叔母夫婦には子どもがいないことから養子として望まれ、婚約者候補を紹介されている。
今の生活、今のありように、ほぼ全面的に満足していたのだが、自分自身があまりにもふつう過ぎ、個性もなく面白みのない自分が不満だった。
そこでひそかに始めた毒舌ブログ。匿名で自分の身の回りの人々を揶揄する。しかも面白おかしく誇張して。コメントがつく楽しさからはまっている。
そこから、満足していた生活の歯車が狂い始めた。

そっと覗いてみてごらん (光文社文庫)そっと覗いてみてごらん (光文社文庫)
(2013/04/11)
明野 照葉

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童謡『めだかの学校』と『かわいいかくれんぼ』が、サスペンスを演出している。じんわりとだが、迫り来る恐怖。「そっとのぞいて見てごらん」であり、「どんなに上手に隠れても 黄色いあんよが見えてるよ」。歌詞が象徴的に引用され、それが逃れようのない不幸の枠組みであるかのよう。
さえずる舌が面白かったので、さらに明野照葉作品をいった。
人に妬まれ陥れられるという点で、さえずる舌と同じ。主人公が恵まれて幸福な女性という点でも同じ。しかし本作の日和が開設しているブログの内容はいささか趣味が悪い。こんなことやっていたら、幸せにはなれないと思える。
本作、スプラッタ系の恐怖は一切なしというところはよかった。さえずる舌と同様、主人公が社会的に葬られるかもしれないというホラー。

ネットで使われるイマドキ言葉が、さりげなく説明されれている。教えてあげますよ的嫌味がまったくなく、簡潔でわかりやすいのが素晴らしい。
これは作品全体に言える。誇張することなく奇をてらうこともなく淡々と話を進める。しかし、トリックは次から次へと提示され引き込まれるし、その構成は穴がなく読んでいて気持ちがいい。
怖いもの見たさがくせになりそう。
THEME:小説 | GENRE:本・雑誌 | TAGS:

さえずる舌 明野照葉

友部真幌は38歳にして公私ともに非常に順調な人生を送っていた。本職の心理カウンセラーとしても、産業カウンセラー(企業と契約し社員のメンタルヘルス、人間関係開発など、組織内の人間の精神衛生を図る)、関連事業のフリーオフィス(休職者が職場復帰前に慣らしで仕事同様のことを行う)もヒーリングサロンも、順調。信頼のおけるスタッフに恵まれ、真幌自身もスタッフより尊敬を集め好かれている。プライベート面では、バツイチながら中庸を好む黒沢悠介を結婚し、その黒沢がビジネス上のアドヴァイスも与えてくれる。

そんな自分をラッキーだと評価する真幌が、さらにラッキーなことに知性、美貌すべてにおいて抜きんでて如才のない島岡芽衣をヒーリングサロンに迎えた。
それが真幌のすべてを揺るがせかねない危機的状況に直面する端緒となってしまった。

さえずる舌 (光文社文庫)さえずる舌 (光文社文庫)
(2009/03/12)
明野 照葉

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こんなホラーがあったとは。
これならホラーが嫌いな私もいただける。
健康な人間の心に入り込み歯車を狂わせるというホラー。
基本スプラッタはなし。(ただし、動物虐待がちらっと出てくる。そこは、すごくいや)

真幌を始め、まわりの人物が個性はあるもののバランスが取れた人物であるところがいい。だから余計な混乱は起こりようがないのだが、それでも真幌は窮状に追い込まれていく。心理ホラー。

それでも真幌は冷静に解決の手段を探る。人々の助けもあり、危機は去る。そこに読んでいて爽快感がある。
しかし最後に真幌の心には一生振り払うことができない影が落とされる。そこがまたホラーなのだ。
THEME:怪談/ホラー | GENRE:小説・文学 | TAGS:
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自分的に人生で一番の読書ブーム到来。 忘れっぽいので、読んだ本のログをとることにしました。 題名だけじゃ、内容を覚えられなくて、読んだことすら忘れるほどの忘れんぼ。
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